民族文化探求の旅
内モンゴル編
中国舞踊サロンでは、今年から「日々の舞踊練習だけではなく、その背景にある中国の民族文化への理解を深める旅をしよう!」と、毎年中国各地を訪れることにしました。
その記念すべき第一弾として、内モンゴル自治区へ行ってきました。
《参加者の感想》
■2013年に中国舞踊に出会い、2014年に初めてモンゴル民族舞踊を躍らせていただいた時からずっと行きたいと思っていたモンゴルへ、念願叶って行くことができました。踊りの原点はその文化の自然、生活や祈りです。今回の旅でモンゴルの壮大な草原や砂漠を見て肌で感じたことで、これから踊る時にもっと想いを込めてモンゴル懐かしく思い踊ることができそうです。近いうちにまた行きたい、そんな場所の一つになりました。(小美)
■内モンゴルの大地や人々からたくさんのエネルギーをいただき、素晴らしい旅になりました。私は、中国語が全く出来ず、行き帰りのフライトは皆さんと別でしたので、正直不安もありましたが、空港からホテルまで送迎の手配もして下さり、初めての地で一人でも無事に辿り着くことができました。
正味4日間という短い期間でしたが、毎日本当に濃く、様々な体験ができ非常に充実した旅になりました。お食事や現地の人々との出会いももちろん、草原で馬に乗ったり、砂漠でラクダに乗ったりと、自然と一体になれた体験はとても貴重で、身体の底からエネルギーがいっぱい湧いてきました。そこには、果てしなく拡がる空と草原、無駄なものは何一つなく、天と地の間で自分さえも無くなるようなとても不思議な感覚でした。モンゴルの人々の生活様式や考え方、挨拶等日々の暮らしの中には、自然に敬意を払い一体となって暮らしている様子がうかがえ、それら全てが舞踊の中にもエッセンスとして入っているのだと深く感じました。
また、個人的には今回多くの方々に助けられ、中国の方々の優しさや真心敬意にふれ、何度も感動して涙しました。 国や枠組みを越えて、人と人は心で繋がれること、あらためて実感させていただきました。この素晴らしい旅から糧をいただき、それらをまた舞に活かしていければと思います!
最後に、素晴らしい旅を企画、手配してくれたmeilinと楽しい旅を共有できた王姐と小美に心から感謝します!!!そして次回も機会があれば是非参加したいです(Yoshika)
【1日目】内モンゴル 呼和浩特(フフホト)
日本からフフホトへの直行便はないので、上海や北京を経由して行きます。
内モンゴル自治区の省都であるフフホトの名は、モンゴル語で「青い城」を意味し、面積17,410平方キロメートル、人口227.4万人(2009年)
※Wikipediaより
フフホトでは、地元では有名なモンゴル民族料理レストランへ。中国のレストランTop 100のうち15位という「格日勒阿媽」と、風情あるパオ風の外観の「蒙古大營」にて。
モンゴル民族料理では多くの乳製品が使われており、かつ発酵されているものが殆どなので基本はとても濃厚な味。特に「奶茶」と呼ばれるプーアール茶ベースの甘くない塩味のミルクティーや、砂漠の葱と呼ばれる莎葱(シャーツォン)という野菜、は日本では食べたことがない味でした。
内モンゴル民族は大きく東西に分かれており、中には多数の少数民族があります。
どの少数民族も彼らの生活を表現した踊りで、肩や背中、腕の動きが特徴的です。特に有名なのは、箸やお椀を使って軽快に踊ったり、牛の搾乳を表現したり、乗馬や狩りの様子を表現する踊り、等。
今回訪問した内モンゴルでは、幸運にも、1964年に芸術や文化継承で有名な内モンゴル舞踊学院を黎明期に卒業し、50年以上現役で踊り続けている有名な舞踊家のお二人(なんと夫婦)にお会いすることができました。
彼らは「はるばる日本から来た私達への最高のおもてなしを」ということで、何と生演奏で踊ってくれ、かつ直接指導もしてくれました。
彼らは70歳を超えていますが、舞踊に対する情熱は年齢を全く感じさせず、むしろ踊りによって気持ちも若く健康で、笑顔で生き生きとしていました。一緒に踊り、お酒を飲み、食事をする、最高に幸せな時間を過ごすことができました。
【2日目】内モンゴル 希拉穆仁(シラムレン)草原
フフホトから車で数時間、標高1008mにあるシラムレン草原へ移動。バスから降りたら、銀のお椀に入ったお酒と哈达(ハタ)と呼ばれる布でモンゴル民族風の歓迎を受けました。
お酒はそのまま飲まず、初めに薬指で、天、地、自分の額につけて歓迎への感謝を示し、その後口をつけていただきます。ハタはモンゴル民族やチベット民族の人たちにとって聖なる印で客人への敬意を示して贈ります。色によって意味も違いますが、私達が受け取ったものは「空」を意味する水色でした。
見渡す限り360度広大な草原に見える光景は、馬、牛、羊。これぞ遊牧民のモンゴルというイメージでした。
草原の中を馬に乗って移動し、モンゴルの大自然を満喫しました。ただ、この草原も3年間雨が降っていないらしく、本来は川であった場所に水がない...という悲しい現実も目の当たりにしました。
夕飯では、モンゴル民族の人たちにとって重要なイベントの時に食べる、山羊の丸焼き出てきました。食べる前に神聖なハタを持ち、きちんと祈りを捧げて感謝していただく、というのは自然と共に生きる全ての民族に共通です。
泊まりはパオ式ホテルにて。観光客向けに作られているためか、中には電気も水道もありましたが、さすがにお湯は出ず。水道水も貴重なので少しずつしか出ませんでした。
【3日目】内モンゴル 庫布其(クブチ)砂漠
シラムレン草原から車で数時間、中国で7番目に大きいというクブチ砂漠へ移動。幹線道路を一本入ると一面砂漠、というこれまた不思議な光景でした。
砂漠に入るためには、専用の足カバーで靴を覆い、さらに顔面は砂が入らないように重厚な装備をして入ります。もはや誰だか分かりません、笑。
砂漠ではラクダに乗って散歩をしたり、民族衣装を借りて写真撮影したり、ここでしか体験できないことをたくさんして楽しみました。
極め付けは砂漠の出口に行くために何と60度近い急斜面を200m以上ソリで降りていく、というアトラクションつき。せっかく完全防備も帰りには全身砂だらけに、笑。
【4日目】内モンゴル 鄂爾多斯(オルドス) 成吉思汗(チンギスハン)陵
鄂爾多斯(オルドス)にあるチンギスハンに関する博物館。チンギスハンが作り彼の子孫が繁栄させた一大モンゴル帝国に習ってか、入口の大きな像も敷地全体も全てのスケールが壮大でした。モンゴル民族の住居であるパオや生活の様子も知ることができます。
有名なのは当時の生活の様子とチンギスハンの一生を記した全長206mの絵。歴史で習うだけではない、リアルな彼の一生を垣間見ることができました。
わずか50年足らずの間にモンゴルにある多数の部族を統一するだけではなく、他国へも進出し世界一ともいえる広大な土地を統治したチンギスハンのリーダーシップを世界中の人たちが研究するのも理解できます。ある研究チームによるとチンギスハンのDNAを受け継ぐ人子孫は世界一多いそうです。
彼の一生を表現した有名な舞台は毎日定期公演しており、私達も当初観る予定でしたが諸事情により断念せざるを得ませんでした。次回は必ず観たいです。
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中国舞踊サロン 民族文化探求の旅(内モンゴル編)はいかがでしたでしょうか?
これからも中国舞踊サロンでは、中国の民族文化について見聞を広め、私達の踊りの表現力を豊かにしていきたいと考えています。
各民族舞踊については、こちらからもご覧いただけます。
さて、来年はどこへ?...お楽しみに‼︎